堂塔伽藍・山門

参拝者を迎える格式高い山門

中山寺の山門は正保三年(一六四六)徳川家光により再建された兵庫県指定文化財であり、正面三間、側面二間の入母屋造り、本瓦葺の格式高い二重門です。『望海楼』とも呼ばれ、昔はこの山門の上から遠く海を望むことができたと言われます。

山門は境内の入口にあり、さとりを求める人々が通る門であると同時に、悪いものが境内に入り込まないための関所とされています。そのため、山門の上層内部には地蔵菩薩、閻魔王、司命、司録を祀り、下層には、阿形・吽形の仁王像と獅子・狛犬を祀っています。

また、仁王像のまわりには足腰が丈夫であるようにとの願いを込めて多くの『わらじ』が奉納されています。

  • 歴史ある貴重な山門の建築様式

    中山寺の山門は、その様式から二重門(二階建てで屋根が二重にある門)に分類されます。

    門には、大きく分けて、一階建ての門(単層門)と二階建ての門(重層門)があります。二階建ての門は、一層目の屋根が無く、縁・高欄(こうらん)だけですませる楼門という様式が多く、一層目にも屋根を持つ二重門は数が少なく、格式高い門と言えます。

    正保三年(一六四六)の建立棟札のほか、享保八年(一七二三)の修理棟札が現存しており、また、上層階に祀られている閻魔像の台座には享保五年(一七二〇)の銘文があることから、閻魔像など上層に祀られている尊像は、山門修理にあわせて制作されたものと思われます。

  • 山門の南北を護る仁王像と狛犬

    山門には、南側に阿形・吽形の仁王像、北側に獅子・狛犬を祀っております。

    これらの尊像は、平成二十一年の山門改修工事にあたり修復彩色を行いました。その際、仁王像の体内から正保五年と書かれた木札や写経された仏頂尊勝陀羅尼(ぶっちょうそんしょうだらに)・般若心経が発見され、山門建立と同時期に制作されたことが明らかとなりました。

    仁王像は、阿形・吽形の二体とも像高約二七五センチ、欅材の寄木造りで玉眼嵌入(仏像の目の部分に水晶を嵌め込む技法)されており、修復の際に発見された木札から大阪の仏師の作であることが分かりました。

    獅子は阿形で角が無く、狛犬は吽形で角があり、ともに像高約一二三センチ、欅材の寄木造りで玉眼嵌入されています。制作は仁王像と同時期と考えられ、修復時の痕跡調査から弁柄漆のみで仕上げられていたことが判明し、制作当初の姿を忠実に復元しています。

  • 足腰の丈夫を願うわらじ祈願

    山門の仁王像の周りには、多くの『わらじ』が奉納されています。これは、交通手段の発達していない昔の西国巡礼が長く苦しい旅であったため、それに自分の足腰が耐えられるよう祈りを込めてわらじを奉納していたことが由来となっています。また、巡礼の途中でわらじが破れた時、先の人が奉納したわらじを借用したあと、次の札所に新しいわらじを納めてゆく習わしがあったともいいます。

    仁王像はその力強い風貌から、身体健全、とくに健脚のご利益があるとして崇拝されてきました。そのため、『足腰が丈夫である様に』との願いを込めて、今でも多くの方がわらじを奉納されています。

    わらじ祈願の受付は、山門横の総案内所で承っております。

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