その昔、第十五代応神天皇の御代、世に大変な疫病が蔓延し、人々は応神天皇との政争に敗れた忍熊皇子(おしくまのおうじ)の祟りであると恐れました。
応神天皇は祟りを鎮めるために忍熊皇子の墳墓へ使者を遣わせたところ、一羽の白鳥が飛び出でました。その白鳥は奥之院の大岩に降り立ち、その大岩より清らかな水が湧き出しました。それ以来疫病は治まり、忍熊皇子の御霊は厄除神として大岩の窟(いわや)に祀られ、湧き水は諸疫を祓う清水であると信仰を集めたと伝わっております。
後に聖徳太子によって中山寺がひらかれた際、大岩を取り込むように拝殿が建立され、日本で最初の厄神さまをお祀りするようになりました。
『お願い石』は古くから奥之院に参る信者、中でも特に女性を中心に伝えられたもので、奥之院までの道中、綺麗な小石を見つけては大悲水で洗い清め、お守りとして懐中すると願いが成就するというものでありました。
古来より吾孫子の峰の山々は、龍神さまをはじめ多くの神々によって守護されていると伝えられ、その頂きからは、奥之院の大悲水へと流れ来る水脈があります。
中山寺の御本尊十一面観音さまのお力(女人救済の誓願)と、奥之院大悲水の諸疫を祓うご利益が習合し、深い信仰を生みました。
平成の再建工事のおり、奥之院拝殿周辺から願いが成満した際に納められたとみられる梵字や経典の文字が書かれた小石が出土し、この信仰が確認されたことを機に、奥之院の地に伝統の『心願成就の法』の復興を発願いたしました。
奥之院では登拝回数表をお作りし、参拝回数に応じて中山寺より表彰と記念品の授与を行います。
奥之院までの参道は、中山寺本堂から約二キロメートルの緩やかな山道となっております。
満開のヤマツツジ、赤や黄に染まる木立、さまざまな野鳥たちのさえずりなど、都会に身を置いていては触れることのできない自然のいとなみがここにはあります。
また、道中の休憩所からは大阪平野を見渡すことができ、天候に恵まれれば遠くあべのハルカスまでご覧いただけます。
奥之院では、さまざまな授与品やご祈祷も受け付けております。
中山寺に来られた際は、少し足を伸ばして奥之院までぜひお参りに来てみてください。
<参拝の際のご注意>
冥加料 | お願い石 500円 お守り袋 300円 |
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詳細 | 奥之院の拝殿正面にお願い石の入った小さな香炉があります。お好きな石を選んでいただき、僧侶が梵字を書き入れ、お願い事を祈願します。石はお守りとしてお持ち帰りいただき、願いが叶った際、もしくは1年を目処にお返しください。 |
お願い石の受け方と返し方
札所名 |
摂津国八十八所霊場 第七十一番礼所 |
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御朱印料 | 300円 |
詳細 | 『日本最初 厄神明王』と墨書します。 |
期間 | 1月19日・7月19日(年2回) |
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ご祈祷料 | 5000円 |
詳細 | 年二回行われる厄神まつりの日には奥之院拝殿内にて厄除開運、家内安全、息災延命、諸願成就の直接のご祈祷を、特別にお受けいただけます。 |
奥之院境内南側に、ひときわ大きなイチョウの木がございます。
このイチョウは、葉の上に実をつける「オハツキイチョウ」と言い、全国でも20本ほどしか確認されていない大変珍しい種です。実を乗せた葉を見つけることができれば、子宝に恵まれるとのいわれもございます。